電車でチューハイをかけられて、感じたこと、考えたこと

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一切話さずとも、見た目だけでこいつの人生は終わってるなとわかる奴は多くいる。5年前と比べ、そういうのが増えたと感じるのは私だけだろうか。

ということで今日、電車で席が空いたので座ると、隣がそのタイプの老人の男だった。左手には500mlの缶チューハイがある。いい身分だ。ふと、こいつこぼしてくるんじゃないかという疑念が頭に浮かんだが、そんな体験はないし、まさかそんなことにはならんだろうと思い、席に座った。

しばらくしてボーっとしてたら、足に冷たいものを感じて、反射的にうわっ!と声を出した。そのまさかが起きたのである。

100%そいつが悪いのやから、まずは謝るべきだろう。驚くことに「すみません」がない。バッグをごそごそしてる。やっと見つけたのが2枚しか入ってないポケットティッシュで、それを私に渡す。

本来なら激怒していいところだ。もし相手がふつうの人だったら、私は大声で文句を言った。しかし一般のケースとちがうのが、こいつはすでに終わってる奴であること。だから平日の午前中に酒を飲んでる。こんな頭おかしい奴に説教や罵声を浴びせても無意味なわけだ。言うことで気が晴れるならいいが、私はそんなことで気持ちよくなるほど程度の低い人間でない。だからかけられたときに、本で頭叩こうか迷ったが、それもやめて、文句を言うのもやめた。目の前に立ってたおじさんと目が合ったが、君、そんなことされて泣き寝入りするのか、と目が言っていた。

多量のチューハイを足にかけられたので拭かねばならんが、ここでも疑問が出る。自分でこぼしたのでないから、私が拭くのはおかしいだろう、と。よってじじいにふかそうかと思ったが、また考えが巡る。多くの人がいるなかで、父親よりも年上の男に足をふかす、この光景はどうであろう。日本は階級社会でないので、その景色には違和感がある。そして、いくらこいつが悪いとはいえ、そんなことをさせれば私の人格も疑われるだろう。よってこれも諦めて、自分でふいた。私は一体、なにをしてるのだろうと思った。じじいはなぜかボーっとしてるので、拭き終わったティッシュとこいつのティッシュを渡して、床を指さし「ふけ」と言った。すると真面目に長い時間、床をふいてる。70歳前後であろう老人の、そういった姿をみるのは哀れである。

品川駅に着いたので席を立つと、なぜかじじいが「すみませんでした!!」と大声で謝ってきた。酷いことをしてしまったと、ようやく理解できたのか。しかし返事のしようがないので無視して電車を降りた。傍からみれば、その光景も滑稽である。

振り返って考えると、私は最初から最後まで損しかしてない。ちかい年齢なら口論でもすればいいが、今回のように歳が親子以上に離れてて、加害者が上の場合はみっともないことになるとわかった。当然、上の方がそうなるが、下の方もきちんと巻き添えをくう。自分も気をつけないといけないと強く感じた。できるかぎり、カッコ悪いことは避けたいものだ。