SV650に乗る V型エンジンは個性あってMT‐07よりおもしろい

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私は、最近のバイクの価格は高くなりすぎていると思う。もちろんコストをかけてつくってある、スズキのGSX-R1000や隼のような高性能、高価格の車種があるのはいい。現状をみると、400㏄以上のバイクのほぼすべては70万円を超えている。気軽に買える金額ではないだろう。部品、製造コストを下げれるところは下げ、見た目が多少チープでもいいからもっと安く買えるようになれば、バイクへの関心がより高まり、バイク乗りが増えるのではないか。250㏄のオンロードバイクの多くはその方向性やが、大型バイクではヤマハのMT‐07とホンダのNC750しかなかった。

若い人は、6250rpmでレッドゾーンに入るNC750は買わない。MT‐07が素晴らしいのは、安っぽくないのに60万円台で買えることだ(YSPで買えば70万円台)。MT‐07とまったく同じコンセプトのニューモデルがスズキのSV650である。

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ということで、SV650の最大の魅力は安さである。73万8720円(税込)と70万円台なので、同排気量クラスの他のバイクと比べれば安い。あるいは4気筒、400㏄のCB400SFと同程度の金額だ。以前に乗っていたので、CB400SFの素晴らしさはよくわかっているが、どちらかを選ぶならば、シリンダー数が少なくとも排気量が大きくてパワーのあるSV650のほうがいい。そして車体が非常に小さい。装備重量が196kgと、MT‐07の182㎏よりは重いが、乗ってみると、実際の重量よりも軽く感じる。私のように都市部の街乗りメインの使い方なら、車体は小さいほうが運転しやすい。私の愛車はスズキのGSR750やが、東京で乗るならSV650の方が運転しやすくて楽だ。SV650は軽快に走ってくれるので、長時間運転しても疲れないと思う。都市在住者と、バイク歴が短い人と、体力に自信ない年配のライダーには最適なバイクだろう。

SV650に対し、速いというイメージはないが、止まった状態からフル加速してみると、かなり速かったので驚いた。おそらく60㎞/h~100㎞/hの、ふだん使う常用域ではこういうバイクがもっとも扱いやすいのだろう。

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 250ccクラスのサイズ

 

MT‐07と比較すると、最大の違いはエンジンで、SV650はV型である。最高出力は76.1PS/8500rpm、最大トルクは6.5kgm/8100rpm。アメリカンに多いエンジンフィールと同じで、ドコドコとエンジンが鳴っていておもしろい。明らかに並列より個性がある。さらに走り出すと同時に太いトルクでグイっと引っ張られていく。MT‐07にも乗ったことあるが、エンジンを比べれば、SV650のほうがおもしろい。走りに最も影響を与えるのはエンジンなので、それがライバルより個性があるのはSV650の大きな魅力だろう。シリンダーが縦置きになるので、その分、横幅が狭くなる。

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 グラディウス、V-Strom650と同じエンジン

 

メーターはおもしろいことに、上のクラスのGSX‐S1000と同じものである。流用できるパーツはそうすることで、コストダウンするわけだ。110万円のバイクに使われているメーターなので、そこを基準にすれば、SV650にとって2ランク上のパーツを使用していることになる。デザインの良し悪しといえば車体を指すが、運転中にそれは見えない。常に見るのはメーターなので、メーターのデザインと表示内容は買う際の大きな判断材料になると考える。メーターはSV650にとって大きなアドバンテージになる、なぜならMT-07のそれのデザインは酷すぎるからだ。あんな変な形をしたデジタルメーターは見たことない。ヤマハはもっとも既成概念に囚われない商品をつくるので新しい提案をしてきたのだろうが、MT-07とMT-09とXSR900のメーターはおかしい。私ならメーターのデザインが変やという理由だけで、これらのバイクは絶対に買わない。メーターについて、オーナーの意見を聞いてみたい、あまり気にならない?むしろカッコいい?SV650とMT-07のメーターを比較して、どちらがいいですかと街角アンケートをとれば、後者を選ぶ人はほとんどいないだろう。 

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SV650の評価を下げるのはデザインである。ダサいとまではいわないが、カッコよくはない。デザインに関しては断然、MT-07が優れている。これも2台を比べてどちらがカッコいいですかと聞けば、大半がMT-07を選ぶだろう。ただし、V型エンジンの造形は美しい。見ていて飽きない。おもしろいのがヘッドライトの丸目で、CB750FourやZ2などの昔のネイキッドバイクの影響で日本人は丸目が好きやが、外国では人気ないとのこと。したがって現行のカブは丸目をやめた。

では、SV650とMT-07を比較すると、どちらに魅力があるだろうか。おもしろいことに優れている点、劣っている点がそれぞれ分かれている。両者ともいいバイクなので好みで選べばいいが、総合力ではSV650のほうがやや勝っているかなと思う。ただし、直営店ではない安く売っている店では、発売から3年ほど経っているMT-07のほうが5万円以上安く買えるはず。価格を踏まえて判断すれば、イーブンではなかろうか。両者とも素晴らしいバイクなので、どちらを買っても満足できるだろう。

SV650は、速い・小さい・安いと三拍子揃った魅力のあるバイクである。もし私のGSR750が盗まれたら、盗難保険の保険金でSV650を買う。

ホンダはNC750だけでなく、こういったモデルも出してほしい。興味深いことに、ホンダは2輪だけでなく4輪も元気ない。これは方向性を決める経営陣に何かしらの問題があるのだろう。トップメーカーに元気がないのは、二輪業界にとってよくない。

うれしいことに、2017年5月に、カワサキからZ650が発売される。2気筒のABSモデルで78万6240円。このクラスにカワサキが参入してきたのはうれしい。

これから注目したいのは、SV650とMT-07の販売台数である。おそらくMT-07のほうが売れると思う。SV650の年間目標販売台数は800台、MT-07の2015年度の販売台数は2550台である。この数字で比較すれば、なんと3倍もの差があるが、これは販売力とブランドイメージの差で、スズキワールド(スズキの直営店)は三大都市圏にしかなく、福岡にさえない。YSP(ヤマハの直営店)は香川にもある。

SV650が初年度にどれほど売れるか、販売目標を超えることができるか。そしてMT-07とどちらが売れるかに注目したい。

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・後日、スズキワールドに行った際に、SV650の納車場面に出くわした。オーナーはおじさんで、うれしそうやったが気持ちはよ~くわかる。納車時が最もうれしい瞬間だ。店の人に聞くと、よく売れているという。いま、新車の大型バイクを買う平均年齢は53歳で、購入者はちょうどそれぐらいだろう。若い人が買わないと、遠からず日本のバイク文化は滅びてしまう。

・2017年4月10日、東京は神田の中央通りでSV650を初めて見かけた。白のバイク便だった。予想やが、おそらくSV650は累計で700台ほど売れている。人口比で考えれば、そのうち70台ほどが東京で走っていると思われる。

・6月のツーリング時に、赤のSV650を見かけた。

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「スズキファンRIDEフェスタ」に参加する 新型GSX-R1000R! 2017年東京 - Toita blog