私が乗っていた、カワサキ 250TR
250TRに乗った期間は2年と7ヶ月ほどで、17000㎞ほど走った。250TRとの別れは寂しかった。なんといっても、一度もコケず、一度も事故をしなかったのは最もよいことだ。しかしトラブルはあった。
東北ツーリングの初日に、東北道を380㎞走って山形北ICで降り、トイレから戻ってエンジンをかけるとかからなくなった。以前に前兆はまったくない。やっとこさかかったので、15㎞ほど走ったが、今にもエンジンが止まりそうだ。これ以上、市内から離れると危険やと判断し、道の駅「むらやま」で止まる。
バイク屋を調べると市内にレッドバロンがあったので電話をかける。すると、本来ならレッドバロンで買っていないと修理しないが、GWで他のバイク屋は休みなので特別にみてくれるという。GWにツーリングにゆく人は多いが、バイク屋の大半は休みなので、トラブルを起こせば大変な目に遭うのだった。
次に保険会社に電話し、レッカー車を呼んでもらう。保険を使ってみて初めて知ったが、レッカー移動がサービスに入っていて、20kmまでなら無料だ。三井ダイレクト損保はよい保険会社やと思う。そんなこんなでバイクを積んで店まで持っていく。みてもらうと、おそらくバッテリーが死んでいるのが原因だという。したがって1日預けて、それを替えてもらった。山形市内で起きたトラブルなので運よく対応できたが、東北の山の中とかでエンジンが止まってしまえば大変なことになっていた。レッカー代が5万円や10万円になる。県庁所在地でのトラブルは不幸中の幸いだった。といったトラブルも、無事に解決したならば良い思い出のひとつになる。250TRには感謝の思いしかない。
250TRの特徴を挙げれば、まずは単気筒であること。単気筒特有のエンジン音や振動はおもしろい。ただし、1気筒でギアが5速ということもあり、100㎞/hを超えると振動と音がかなり大きくなるので不快である。したがって都内を走る速度域では愉しめるが、飛ばすのなら単気筒はよくない。19馬力と非力なエンジンである。250TRはバイク好きが乗るには物足りないが、逆にいえば性能をフルに使いきれる愉しさはある。
そしてサイズがコンパクトである。これも良い面悪い面とあるが、取り回しは楽だ。肩の力をまったく入れずに乗ることができるのはよい。バイクの最大の魅力のひとつは気軽さであるから。
燃費はたしか、街乗り25㎞/h前後、ツーリングで30㎞/h以上は走ったと思う。250ccは燃費よい。しかしながらタンクが小さいので当然、燃料タンクも小さくなり、ガソリンは6.5Lしか入らない。したがって120㎞ほど走れば給油せねばならず、それはけっこうめんどくさい。
能登半島先端、ランプの宿の崖上
青森の岩木山
タコメーターがないことからもわかるとおり、正統派のバイクではない。250TRのだめなところはスポークホイールであること。これは錆びるのでだめだ。そしてブロックタイヤは意味不明である。ふつうのオンロードタイヤに交換できるので最後は私もそれに替えたが、ブロックタイヤのときは運転がしずらく、状況によっては危険ですらある。純正でブロックタイヤを履かしたカワサキの判断が理解できない。よい面などないと思うが、どうだろうか。250TRをオフロードメインで乗ってる人なんていないじゃないか。さらに文句があるのは、キーの差込口がタンク下にあること。わざわざ不便になる場所にそれを作るセンスがわからない。メーターの下でいいではないか。
石川県の千里浜なぎさドライブウェイ
250TRは2013年に生産中止になり、後継モデルは開発していないだろう。けれども250TRは非常によく売れたモデルである。気軽さとデザインが受けたのやと思う。硬派なカワサキにしては、珍しいバイクだった。
ライダーハウスの駐輪場