ツバメの雛を助ける

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あるサービスエリアでツバメが巣を作っており、雛が3羽いたのやが、1羽が巣から落ちてしまった。雛が巣から落ちるのはよくあることで、自然界では落下で死なずとも、以降に生き残ることはできない。ただ今回は、糞害を避けるために巣の下に発砲スチロールを置いてあり、雛はそこに落ちたので元気である。彼は運がよかった。

当然、ほっとくわけにはいかないが、如何せん彼は野生なので安直に助けるのは気が進まぬ。だから様子を見ていると、驚くことにエサをやりにくる親が落ちた雛に一切かまわない。その雛もピーピー鳴いているので気が付かないということはないだろう。これでわかったのは、ツバメの知能は想像していたよりもかなり低いのではないかということ。私ら人間からみれば、ツバメはみな同じにみえる。しかしながら親はさすがに自分の子は判別できるだろうと思っていたが、どうやらできないみたいだ。そして子供が3羽いたのに2羽しかいない、あれ、おかしいな、下に1羽いるので自分の子が落ちたのではないか-----、という判断もできないみたいだ。べつにツバメが頭よかろうが悪かろうが私に関係ないが、ちょっとショックを受けた。

私が見始めた頃は、落ちた雛も親が来るたび一所懸命鳴いていたが、途中から鳴かずに奥に引っ込んだ。事実かわからないが、スズメは4時間以上何も食わなかったら死ぬと何かでみたことがある。たぶんそれは事実ではないが、この雛も長時間食べてないので弱っているのではないかと思った。ということで助けようとしたが、3人の年配者にこう言われた。雛に人間が触ると、人間の臭いがついて、親がその雛を攻撃するようになる、と。実際にこのサービスエリアで人に助けられた雛を親がしつこく攻撃して巣から追い出したことがあるという。そんな話は初めて聞いたのでほんまか?と思ったが、複数人が言っているし、ありえそうではある。重要なことなのでネットで調べると、実際はそんなことはないみたいだ。ということで表から椅子をもってきて、お店の台に載せて、発泡スチロールを覗き込む。おもしろいことに、人間が目の前に現れて雛も内心ギョッとはしたのだろうが、逃げたり鳴いたりはまったくしなかった。ずっと人間を上から見ているので、慣れているのかもしれない。早く作業を終わらしたかったので、雛の正面から掴もうとすると、さすがに雛はビクッとして反射的に後ろに下がろうとした。そりゃそうだ、どう考えても怖いだろう。ちなみにこの雛がいた場所は、糞の塊の上だった。捕まえて巣に戻してやると、自分で進んで戻っていき、奥に行って動かなくなった。久しぶりに家に帰って安心したか。この際に2羽も驚いたはずやが、リアクションはとくになかった。やはり人馴れしているのかもしれない、これがスズメならリアクションなしにはならんだろう。作業を終えるとおばちゃんに、「親が来なくてよかったね」と言われて気づいたが、たしかにそうだ。そして下で様子をみていると、時間が経つと落ちた雛も親が来ればエサをねだるようになり、そして親も排除するような行為をしなかったので、一件落着である。ツバメに触るのは2年ぶりだった。

さらに時間が経って下から見上げると、1羽が私を凝視している。3羽のうち1羽は一回り大きく、彼ではないのはわかる。もう2羽の区別がつかないが、この凝視している雛は助けた雛かもしれない。何が起きたか理解できてないだろうが、私のことはわかっているのかもしれない。彼はこちらをずっと見ていたので、なにか不思議な感じがした。

もう既に、3羽とも巣立ちしたとのことで、よかった。これから東南アジアあたりに行くのだろう、生き延びて、次は子供を産む親として、日本に帰ってきてほしい。f:id:suzaku-umenoya:20170924230944j:plain

 私を見ている