2月18日に起きた新型レクサスLSの事故について

 

18日の朝に、東京都港区白金で起きた車による死亡事故の件をその日の夜にツイートすると、大きな反響があり非常に驚いた。ということはこの事故が注目されているということだ。ツイッターは字数制限があるのでブログできちんと書いてみたい。ただし、私は専門家ではなくただのクルマ好きなので、専門的な知識を用いた内容ではないです。

事故が起きたのは港区白金の都道で、車が店に突っ込んだ。その際に歩行者を巻き込み、37歳の男性が搬送された病院で死亡した。この運転手が、元東京地検特捜部長の78歳の男性で、一部の人が気にかけたのがここである。私はこういった事情に詳しくないが、暴走運転をし、結果、その場で死んではいないものの無関係の歩行者が重体になっていながら逮捕されてないのはなぜか?とは思う。情状酌量的な要素は皆無だ。それなのにその場で逮捕されていないのは、運転手のかつての肩書が影響するのでは?と思う人もいるが、どうなのだろう。ただ、ツイッターのコメントでなるほどと思ったのは、運転手も足を骨折しているので逮捕以前に入院させなければならなかった、という考えの人がいた。その辺の事情は私にはわからない。さらに「東京地検特捜部」絡みの陰謀論もみかけるが、これはもう、私にはあるのかないのかさえも絶対にわからない世界だ。

さて、多くの人が反応しているのが車についてである。ニュースになった当日は、「元東京地検特捜部長」に対しての反応が大きかったが、1日経ってからは車に注目が移った。事故を起こしたのは去年の10月に発売されたばかりのレクサスLSである。LSはレクサスのフラッグシップモデルで、価格は980万円から、売りのひとつが「安全技術」である。自動ブレーキを含めた事故を起こさせない技術レベルは世界最先端なのに、今回のような廃車になるほどの事故を起こした。

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コメントをみると、「自動ブレーキが効かなかったのではないか」「欠陥車だったのでは」という意見がみられた。これは機械である以上絶対ないとはいえないが、可能性は低い。今の安全技術は、AIが人間の脳のようにその都度「これは事故になるかどうか」と判断するわけでない。したがって限定された状況下で安全装備が働く。もし安全を第一に考えた安全装備をつくると、たとえば人がちょっと飛び出してきたり前方に車が止まっている状況のすべてにいちいち反応して、そんなことになればスムーズな運転など不可能だ。だから作動する状況を限定しているのだった。今回は、運転手がブレーキとアクセルを間違えて踏んだと言っているので、車側は「事故になる」という判断をしなかったと思われる。そのうえで、事故を起こす前の運転状況、何㎞/hほど出ていたかブレーキは踏んだのか何㎞/hで店に突っ込んだか、などの情報は車のコンピュータの履歴に残っている。ドライブレコーダーを装着していればそれにも記録が残る。したがって警察は事故状況を調べて知っている。しかしたとえばテロなどの重大な事件でない以上、警察が公表する理由はない。問題はマスコミがそれを調べて、かつ新聞やテレビなどのニュースにその情報を出すのか、ということ。LSはトヨタ車(レクサスはトヨタのブランドのひとつ)で、トヨタはマスコミにとって大スポンサーだ。ということは発売したばかりで安全が売りのLSの車名やトヨタの名を出してまで報道できるかどうか。おそらくできないだろう。現にあるメディアのネット記事を読むと、事故が起きた車をレクサスの名は一切出さずに「高級車」という表現をしていた。

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自動ブレーキなどの安全装備が作動していたとしよう。作動していたとしても、今回のケースだと衝突を回避するのは不可能である。なぜならこの事故は自動ブレーキで止まれる上限速度を超えていたと考えられる。LSの自動ブレーキが効く上限は50㎞/hほどのはずだ。何年か前に発売された日産のスカイラインが50㎞/hで止まれたはずなので、LSがこれを下回ってはいないはず。逆にいえば、たとえば100㎞/hで壁に突っ込んだらそれは絶対に止まれない。事故車をみるとフロント部分が大破しているのでかなりのスピードが出ており、突っ込むまでブレーキを踏んでいない可能性もある。したがって自動ブレーキに関しては止まれる速度を超えていた、あるいは自動ブレーキが作動する状況ではなかった、のどちらかだろう。車の壊れ具合をみると、60㎞/h以上で突っ込んだと思われる。

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自動ブレーキが効かなかったのではないか、欠陥車ではないか、だからトヨタは事故状況を公表すべきだという意見の人もいる。しかしながらトヨタが公表するとすれば欠陥車だった場合に限り、そうでないなら責任は運転手にあるのでそれの義務はない。ただし、多くの人が疑問を持っていて、事実関係を知りたいと思っているのやから、これはメディアの仕事だ。今回の事故は車に無関係な歩行者がひとり亡くなっている。したがって悲惨な事故やが、見方を変えれば発売されたばかりで1000万円以上する世界最先端の安全技術をもつ日本車のLSが大きな事故を起こしたのやから、メディアの特にテレビ局がLSやボルボの最先端の安全技術を映像で紹介して、しかし今回のような事故のケースや、あるいはこういったケースなら自動ブレーキは効かないなどと視聴者に紹介するのがもっともよい。たとえば下はオートックワンの動画で、LSは前方に障害物などがあり、止まれる速度でなければ車が自分で避けてくれる。車が自分で障害物を避ける技術が市販車にあるなんて、ほとんどの人は知らないだろう。

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車に関心がない多くの人は、「自動ブレーキ」と聞くと、車種によって止まれる上限速度が違うなどといった知識はもってなかったりする。だからたとえば80㎞/hでも止まれるのではないかと考える。たぶん最も優れた自動ブレーキが作動する上限速度は60㎞/hで、80㎞/hでは絶対に止まれない。これは自動車メーカーが啓発しなければいけないし、メディア、特にテレビが紹介すべきだ。べつにこういった検証のニュースはトヨタにケンカ売ってるわけでないのでメディアにはやってもらいたいと思うが、やはり自粛してしまうのだろう。気持ちはわかるけど、情報を受け取る国民にとってそれは不幸なことだ。

ちなみにこれは蛇足やが、ツイッターのコメントをみると、遠隔操作された、と陰謀論を考える人が一部にいるみたいだ。これは時代を先読みしすぎで、今の車にそれはできないと思う。というのは運転する主体はあくまで人間だからだ。逆に考えると、「完全な自動運転車」が普及するのはありえないとわかる。自動運転車はつまりはコンピュータが運転するということで、これはパソコンと同じでハッキングされるリスクを絶対にゼロにできない。ハッキングされた自動運転車が渋谷のスクランブル交差点を暴走して人を殺しまくったら誰が罪に問われるのか。そんな危険な商品を、どうして自動車メーカーが販売するのか。日本メーカーの大きな市場であるアメリカなら、訴訟の嵐になるだろう。もしかしたら遠い将来には何かしらの技術革新でそういった危惧が解消されるかもしれないが、20年ぐらいは無理だ。技術的にはいずれは可能で、たとえば横浜にある日産本社周辺では、東京オリンピックまでに市街地を走る自動運転車を完成させるために、ステッカーを貼りまくった現行リーフの実験車を毎日走らせている。タイミングがあえばみかけるだろう。しかしながら、「100%の安全が保障されない」以上、市販化は無理だ。

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以上が私の考えで、安全技術が売りのLSの事故だったが、べつに車が悪いわけではない(欠陥車という可能性はあるが、それはほぼない)。むしろ驚いたのは、フロント部分があれほど大破していて、おそらく60㎞/h以上で突っ込んでいるのに運転手は足の骨折だけで済んでいること。LSが室内にいる人間にとってむちゃくちゃ安全な車であることは証明された。自動ブレーキが効かなかったとか何かの陰謀論とかが出るのは、つまりは正しい情報がメディアから出てこないからだろう。テレビ、新聞、雑誌などのメディアがきちんと検証して情報を出してくれるのが一番いいが、大スポンサーのトヨタの車種の事故を深入りして報道するなどしたくないわな。ちなみに彼らを責めているのではなく、私がメディアの人間ならそんな報道はしない。トヨタの機嫌を損ねるのは怖いからだ。さらにもうひとつ余計なことをいえば、ツイッターで引用した記事の元は朝日新聞である。個人的には朝日新聞にこの事故の詳細を検証してもらいたいと思っている。なぜなら朝日新聞は、32年間も存在しなかった従軍慰安婦の嘘記事を訂正せず、未だに国民に謝罪すらしていない。それだけでなく朝日はいろんな嘘を書いて日本と日本人にとてつもない迷惑をかけているので、おまえらが検証記事を書け。

という感じで最後に余計なことを書いてしまいましたが、確実にいえるのは、私達としては、正しい情報を受け取りたいと思っている、ということですね。

 

写真は去年の東京モーターショーで撮ったものです。

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