GSX250Rを見に行く 私の前のバイクはGSR250

f:id:suzaku-umenoya:20170506224059j:plain

GSR750のトラブルをみてもらうために地元のスズキワールドへ行くと、4月中旬に発売されたばかりのGSX250Rがあった。私はこのバイクのベース車であるGSR250にかつて乗っており、11,000㎞走った。その縁からGSX250Rを見て触れる日が来るのを楽しみにしていたわけやが、実車でみると、相当カッコいい。隈なくチェックしたが、デザインは文句のつけようがない。このクラスは激戦区なので、スズキも真面目に作ったのだろう。

だめな点は、やっぱり横にヘルメットロックが付いてない。GSX250Rだけでなく、最近のバイクの多くにそれが付いてないとのことで、なぜそういった風潮になっているのかわからないが、絶対に純正で付けるべきだ。付けるメリットは大きく、コストなどたかが知れてる。他には、メーターがフルデジタルになっている。GSR250はタコメーターがアナログで、まとまりのあるデザインやったので気に入っていたが、それを流用せずにGSX250R用に新たにメーターをつくったのは偉い。しかしながら、個人的な好みもあるけど、タコメーターはアナログの方がよいと考える。ただしライバルのヤマハ・YZF‐R25カワサキ・Ninja250のメーターはともにタコがアナログなので、差別化を図ったのかもしれない。

f:id:suzaku-umenoya:20170506221217j:plain

f:id:suzaku-umenoya:20170530185534j:plain

GSX250Rを軸に、250㏄クラスで買うバイクを検討してみると、まずはGSR250との比較になる。両車のエンジンはまったく同じである。車体のベースもGSR250なので、性格の違いから多少はセッティングを変えているかもしれないが、9割以上は同じだろう。したがって最大の違いはデザインである。GSX250Rは52万7040円(税込)とGSR250の7万円高で、私が選ぶなら当然、気持ちとしてはGSR250よりはるかにカッコいいGSX250Rを選びたいが、GSR250を買う。デザインの違いだけで7万円もの差があるのを許容するかどうかはそれぞれの価値観になる。下は私が乗っていたGSR250で、GSR750を購入した際に手放し、彼は今、違うオーナーの元で元気に走っている(と思いたい)。

f:id:suzaku-umenoya:20170506221444j:plain

ライバルはヤマハのYZF‐R25カワサキのNinja250である。3車とも価格はほぼ同じだと思っていい。おもしろいのが、3車ともカッコいいこと。したがってR25もNinjaも売れていて、特にR25はよく見かける。

この2車種に乗ったことないが、GSX250Rとのちがいは2つある。ひとつは最大馬力で、GSX250Rが24馬力、R25が36馬力、Ninja250が31馬力。特にR25との12馬力差は大きく、乗れば誰でもわかるほどの違いがあるだろう。GSR250のエンジンはけっこうたのしいエンジンで、数字をみれば非力やが、街中では扱いやすく、100㎞/h程度ならすぐに出る。気持ちよく回ってくれるので私は気に入っていたが、速いエンジンではない。したがってGSX250Rの見た目はスポーティやが、乗り味はいたってふつうとなる。そうなると方向性としてはCBR250Rにちかいといえる。CBR250Rには乗ったことあるが、名前から連想する速さや高性能な雰囲気は一切ない。対してR25はけっこうスポーティなはず。その概念でいえば、Ninja250は両車の中間に位置すると思う。

f:id:suzaku-umenoya:20170506221647j:plain

ふたつめは、GSX250RのみABSの設定がない。スズキのこの判断は決定的によくないと考える。バイクの性質上、ABSは必須である。スズキの判断の理由は2つあり、まずはそもそもGSR250にABSの選択肢がないこと、そしてこのクラスを買う人は、ABS非装着を選ぶ人の方が多いからだろう。ABSを付けると、5万円ほど高くなる。そのうえでABS車と非ABS車を用意しても多くが後者を選択するならABSはいらない、という考えだ。したがってスズキの判断は合理的かもしれないが、志が低い。事故を減らせる機能が選べないのはおかしい。R25とNinja250のABSは標準装備でなく、選択肢をもたせている。いるかいらないかはお客様で判断してくださいということ。こちらが正しい。バイクは事故を起こすと大変危険だから、楽しいとか速い以前に、安全であることが大事だと私は思う。

といったことを踏まえてこのクラスのバイクを買うとすれば、私ならR25のABS付を選ぶ。税込で約60万円とちょっと高いが、安全はプライスレス。R25はもっともカッコいいバイクのひとつやと思っている。素晴らしいデザインだ。R25とGSX250Rのデザインをみると、両車のコンセプトが完全に一緒だとわかる。

f:id:suzaku-umenoya:20170506221910j:plain

うれしいのは、このクラスは売れ筋なので、都会で住んでいればどこかの店にはそれぞれ試乗車が用意してあり、乗って判断できること。バイクは試乗できずに買わねばならないケースが多々あるが、高額な買い物なので契約前に一度は乗って、どういった乗り味なのかを知りたい。私は最もよくできているのはR25やと考えるが、もしかしたらNinja250が一番かもしれない。

店員にカッコいいですねと言うと、「うちだけで、もう〇台も売れました」。それは凄いですねと本心から思いそう答えたが、帰宅してから、その考えは根本的に間違っていると気づいた。55万円と、大金ではあるがバイクのなかでは安価な買い物である。よいバイクやのに、たった〇台しか売れていない。たとえばスズキのクルマで考えると、最近ワゴンRが新型になったが、ディーラー1店で月に10台以上はワゴンRを売るだろう。日本のバイクの販売は超氷河期だ。

日本でバイクが売れない原因は大別すれば2つあり、ひとつはバイクに乗ろうと思うような社会環境にないことだ。日本のバイクメーカーは、世界シェアで約46%ほどもあり、その国でバイクに乗りにくい環境をつくるのは絶対に間違っている。都会での駐輪場不足や厳しい騒音規制、高速料金が軽自動車と同額など、これらはバイクメーカーが先頭に立ってやめさせなければいけない。バイク人気が高かった頃の時代なら、GSX250Rは発売から半月で1店舗20台は売れている。もうひとつは、日本人の欲望が低くなっているので、バイクに乗ろうなど思わないのだった。GSX250Rの年間販売目標台数は2500台。ちなみに100万円以上するワゴンRは月に15000台前後は売れるだろう。

f:id:suzaku-umenoya:20170530185358j:plain

GSX250Rは非常にカッコいいバイクなので、勝った人は満足するだろう。しかしライバル達も魅力的だ。250㏄はパワーがないことさえ受け入れられるなら、乗りやすく維持費も安い最高のバイクである。ホンダ以外に50万円台で魅力あるモデルが揃っているのはうれしい。次はホンダにCBR250Rの次期型か、まったくのニューモデルでこのクラスに参入してほしい。

f:id:suzaku-umenoya:20170530185444j:plain

 

「スズキファンRIDEフェスタ」に参加する① 隼が素晴らしい 2016年東京 - Toita blog