五右衛門風呂に入る 伊豆ツーリング番外編

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伊豆で泊っている『Fuji Rider House』には五右衛門風呂がある。五右衛門風呂に入ったことないので、入ってみたいとは思った。しかし客は私ひとり。湯をつくるまでの作業は大変だろうから、経験ない者にとっては数人で協力してやりたいところ。とはいってもそれは無理なので、あとは入るとしても、いつ入るかだ。3日目に早起きして入ろうかと考えていたが、ちょうど2日目の朝が雨だったので五右衛門風呂に入ると決めた。

まずライダーハウスに手伝いで来ている人に最低限のやり方を教えてもらい、でっかい斧を貸り、新聞紙をもらう。斧は先の刃が重くてかつ、棒が長いのでずっしりと重い。燃料の木は既に用意されている。まず初っ端からトラブルがあった。五右衛門風呂にはお湯もあり、お湯が出れば40度ぐらいからのスタートになるので、楽ができる。しかし!蛇口ひねってもお湯が出てこない。お手伝いの人に聞くと、「この前までお湯は出てたのに…」。壊れたらしく、水の状態からスタートだ。

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しなければならないことは、木を伐って伐って伐りまくること、それに尽きる。これは想像以上の重労働で、くそ重い斧を上まで持ち上げて振り下ろす作業の連続はキツい。ただ私のようなウエイトトレーニングが趣味の者にとっては、これは我慢すれば済む。難しいのは、木を伐るときに、当てる場所がどこでもいいわけではないこと。たとえば幅が10㎝程度の丸太を伐る際に、真ん中に振り下ろしてもほぼ意味がない。端を伐らねばならないのだった。といっても重い斧をおもいっきり振り下ろして、狙った場所に当てるのは非常に難しい。つまり、振り下ろしてもロスが多い。そして燃やす木は、ある程度小さくしないと燃えない。したがって大きな窯にたっぷりと入った水を40度ぐらいにするためには、けっこうな燃料がいる。これをつくるのに初心者ひとりで木を伐っていくのはかなり大変だ。

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最低限の量の木をつくり、風呂の下に入れ、新聞紙に火をつける。ハウスにガストーチバーナーがあったので火をつける苦労がないのはありがたかった。新聞紙だけでなく、バーナーからも風呂下の木に向けて火を当てれるので素晴らしい。きちん燃えたときはかなり嬉しかった。炎を見ていると気分が高揚してくる。

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五右衛門風呂経験のない者にとっては、まずはきちんと水が温かくなっていくか、確認しなければならない。したがって最初は風呂に水を少量しか入れずに様子をみると、温かくなってきた。それではと水を半分ぐらい入れる。あとはひたすら木を伐っていくのみ!作業時、5%ぐらいはたのしいのやが、95%はしんどい。「なぜおれはこんなことをしているのか。べつに五右衛門風呂なんて入らなくていいんじゃないか----」と考えてはいけないが、どうしてもこれが頭に浮かんでくる。もうここでやめようかなと弱気になる。だってこんな大量の水をお湯にするって大変だぜ。重労働のキツさと雑念と闘いながら、この野郎!この野郎!!と声に出しながら木を伐り続ける。でないとやってられない。

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写真で確認すると、作業は55分ほど。なんとか諦めずに燃やし続けた結果、40度ぐらいになる。ここで風呂下に蓋をし、火を消す。やっとこさ風呂に入る。まず注意せねばならないのは、窯の下部分は高熱なので触れることはできない。したがって足を向こうの外に出さねばならないので、しんどい姿勢をせざるを得ない。はっきりいって、リラックスできる状態ではない。たぶん五右衛門風呂にふつうの姿勢で入るには、火を消して1~2時間経って足がつく下部分の熱を下げねばならないのだろう……とそのときは考えたが、今ネットで調べると、底板をひくのが正解みたいだ。うわー、理想をいえばお手伝いの人がそれを教えてくれたらよかったのに。いや、ここには底板は用意されてなかったのかもしれない。いずれにせよ、ずっとしんどい姿勢で風呂に入っていたので、ちょっと後悔が残った。

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…そういやビールがひと缶残っていたなと思い出し、風呂に入りながら飲む。BGMは目の前の河津桜に留まっているホトトギスと、他の場所から聴こえてくる鳥の声と雨の音である。こんなに苦労したのやからある程度の時間は入っとかないと…と思ったので40~50分ぐらい風呂に入り、出る。下に足をつけれたらもっと気持ちよかったのになぁ…。

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 河津桜

 

風呂から上がり、風呂下の木をシャベルで拾い、土に捨てる。捨てた後に、風呂の水をかける。以上、これが私の初めての五右衛門風呂の体験である。そのときは入った意味あったか?とも思っていたが、時間が経った今、振り返って五右衛門風呂を火で焚く作業を一からしたのは素晴らしい体験になったなと考えている。しんどかったが、終わってみればそんなことはどうでもいい。大自然のなか、予定してなかった五右衛門風呂に入れてよかった。やっぱツーリングはいい。

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