10年後の自分へのGSR250評
スズキのGSR250を1年4か月、11000㎞走ったうえでの評価をしてみる。記憶は薄れてゆくので、時が経てばGSRのことを忘れていく。実際、10年前に乗っていたCB400SFの乗り味はあまり憶えていない。したがってそれを文字で残しておくことは大切なことだ。
GSRと他の250㏄バイクを比較した際に、GSRのよい点は、最も安いことである。他にはカワサキのninja250SLとホンダのCBR250Rも同価格やが、これらは1気筒で、GSRは2気筒になる。乗り比べれば誰でもわかるほどのちがいが両者にはある。80㎞/hを超えたあたりから、振動の大きさに差が出てくる。2気筒の方が当然、余裕があるので走ってたのしい。個人的には1気筒のninja250SLとCBR250Rはおすすめしない。
GSRの凄いところは、安っぽい面がほぼないことだ。私の抱いた印象では価格設定が5万円ほど安い。
まずはエンジン。結論からいえば、よいエンジンである。23馬力と非力やが、走ると数字ほどの非力さは感じない。たしかに出だしのパワーのなさには不満を感じるが、それをこのクラスのバイクに求めるのはお門違いだろう。120㎞/hまではすんなりと出て、上限は130㎞/hほどになる。100㎞/hぐらいなら、エンジンにまだ余裕がある。250㏄のバイクは非力やが、逆にいえばパワーを100%使い切れる愉しさがある。11000rpmからレッドゾーンに入る。2気筒なので8000rpmを超えたあたりからエンジン音と振動が大きくなる。街中でもレッドゾーンまで回すことができ、大いに遊べる。
乗り心地やハンドリングなどの車体の出来は、平均レベルやと思う。特徴はなんといってもライバルより車体が大きく重く、180㎏もあるので、どっしりとした乗り味になる。それがよい面になるが、逆に軽快さには欠ける。そしておそらくライバルよりは多少、燃費が悪いだろう。燃費は暖かい季節で27㎞/L前後、冬は夏に比べて3㎞ほど悪くなる。最高燃費は33㎞/L、最低は21㎞/Lである。夏に8000rpm以上は回さないようなエコランをすれば、常時30㎞/Lは走ると思う。タンク容量が13Lなので、燃費が27km/Lならば350キロ走れる。250ccクラスは燃費いいので経済的だ。
マフラーは左右2本出し
他の要素をみると、維持費の安さに驚く。11000㎞走り、整備はオイル交換とチェーン調整1回のみ。オイルは6000㎞ or 1年で交換、オイルフィルターは3回に1度の交換でよい。そこそこの性能で満足できるのであれば、250㏄クラスはお金のかからない素晴らしいバイクである。
メーターはスピードがデジタル、タコがアナログである。スズキはこの組み合わせが好きだ。配置は、真ん中に大きなタコメーターがあり、非常に見やすい。オーナーが運転中に見るのは外観ではなくメーターである。したがってメーターのデザインのよさや見やすさなどは大切な要素になるので、この点はよいが、ただしライバルのメーターもよい。唯一だめなところは、時計がデフォルトで表示されないこと。オドメーターとの切り替えになっているが、非常に使い勝手が悪い。時期型のGSX-S250ではデフォルト表示にすべきだ。
納車して2時間後ぐらいでの撮影
もうひとつ、最近のバイクの多くがそうやが、ヘルメットロックが付いていない。社外品を後付けすることになるが、そのデメリットはキーがひとつ増えること。キーが増えるのは携帯の際に煩わしいのでやめてほしい。なぜメーカーはヘルメットロックを付けないのだろうか。どういう理由からそれを付けないのか、不思議でしかたないし、かなり迷惑だ。
外観のデザインは、中の下といったところで、積極的にカッコよいわけではない。デザインで選ぶなら、ヤマハのR25、カワサキのninja250のほうがいい。ただしGSRは大柄で、サイズは400ccクラスである。250㏄クラスでこれほど大きなバイクは他にない。
センタースタンドは標準装備
乗ったことないが、評判通りに総合評価で250㏄クラスを選ぶのなら、ヤマハのR25がもっともよいバイクやと思う。カッコいいし、性能もいいのだろう。ただし、GSRより10万円ほど高いので、価格を踏まえての評価が必要だ。ninja250もGSRよりいいバイクやと思うが、こちらも10万円ほど高い。
私はツーリングに行く際に、大きなバッグを積むのやが、GSRはシート(おしり)が長いのでそれが積めた。したがってロングツーリングにも最適なバイクである。GSR250は本当に素晴らしいバイクだった。バイクが「大好き」でなく「好き」レベルであるなら、GSR250にずっと乗っていただろう。きちんと調べたうえで納得して買えば、よい相棒になってくれると思う。夏に軽い接触事故を起こした(こちらに非はない)が、事故はそれだけで、一度も転倒はしなかった。運転を愉しむのは大事やが、事故をしないことも同様に大切なことだ。しかしこちらが気を付けていても、相手から突っ込まれれば避けようがない。事故がなかったということも踏まえて、GSR250と付き合ったバイクライフは愉しい時間であった。短い期間だったけれど、ありがとう、GSR250!